supplod さんの「 白い砂のアクアトープ 」の感想

86点 白い砂のアクアトープ

前評判の低さから期待せずに見たらかなり面白かった! 2クール構成が効いているオリジナルアニメっていいよね

前半クール:87点
後半クール:84点


https://note.com/kksk/n/n44a6b4563adf



・感想まとめ
おもしろかった!

かなり賛否両論というか、微妙な評判だと聞いていたので、ハードルがかなり低くなっていた節はある。

あと単純にわたしがP.A.のオリジナルアニメでアニメオタクに育った信者だというのも無視できないだろう。仕事は嫌いだけどP.A.お仕事シリーズは大好き!!

個人的にはちゃんと楽しめたし、じゅうぶん名作の部類に入るアニメだと思うが、主に後半クールが評判が悪い原因は誰が見ても一目瞭然なほどに、分かり易かった。

いや、わたしも副館長のことはそんなに好きではないです。
ティンガーラでの社会人編で、大きな組織の一員として「お仕事」の大変さにくくるが初めて直面する展開のために生み出されたキャラだというのはわかるが、どう考えても扱い方がまずい。失敗している。
同じお仕事シリーズの『SHIROBAKO』(2014)でも、こういう嫌な/無能な/癖のありすぎる男性上司(権力者)キャラは出てきたけれど、あれは水島努のコミカルでハイテンポな設定と演出だから活きているのであって、このアニメのトーンのなかでは、こいつ1人だけ浮きすぎており、単なるパワハラ上司になってしまっていた。
この人が悪いんじゃなくて、脚本(シリーズ構成)が悪い。なのでこの人のことはめちゃくちゃ嫌いとまでは思わない。むしろ同情してしまう。

もう少しマイルドな言動に設定されてさえいれば、飼育係だけが水族館の仕事だと思っていたくくるに営業の大切さを教えてくれるいい上司キャラになれたのに……紙一重なんだと思う、こういうのは。

~副館長への言及おわり~

『白い砂のアクアトープ』のなにが良かったかって、まずは映像。
沖縄・南城市を舞台とした美しい背景美術や撮影処理が見ているだけで癒されたし感動した。

空の「青」だけで満足しちゃう
各話アイキャッチもおしゃれだった


また、2クールアニメとしての構成も非常に良かった。
祖父が館長、自身が館長代理を務めている「家」同然のガマガマ水族館の閉館を食い止めるために、高3の夏休みに奔走する第1クール。
そして新しい巨大水族館ティンガーラへ新卒社会人として入社して、まともな「仕事」の過酷さや人間関係に悩みながら成長していく第2クール。

つまり、前半で夢=青春の終わりを描き、後半でそれでも続いていく人生を描いている。青春と人生の2部構成モノが、わたしの大好物なんだ。『ちはやふる』とか『WHITE ALBUM2』とか、他にもいろいろ。
(わたしは大好きな作品にそういう構造を無理やりでも見出したがる、といったほうが正確かも)

そもそも第1話から、東京でアイドルの夢破れた少女が沖縄に流れ着く展開で始まっているし、「夢は終わっても生は続く」というのを一貫して描いている。それは、くくるの謎めいた「2冊目の母子手帳」の存在などとも呼応して、誰にでも均しくおとずれる死と重ね合わされて、生と死の循環そのものである「海」と、そこにすむ「いきもの」たちに寄り添っていく、真面目な水族館ドラマとして結実していた。
『花咲くいろは』→『SHIROBAKO』→『サクラクエスト』に次ぐ4作目の「お仕事アニメ」だけれど、シリーズ中もっとも真面目に「お仕事アニメ」をやろうとして、やり切っていたように思う。

苦言を呈するとしたら、2クール目で知り合いがみんなティンガーラに大集結しちゃうのはやや勿体ないと感じたかなぁ。お遊びじゃないんだから、それぞれの職種・職場で仕事を頑張る群像劇を見てみたかった。それが作劇上むずかしいからこうなってるのはわかるんだけど……。
職場を「家」に、同僚を「家族」のように見なして労働を成長物語的に礼賛するのは、おそらくP.A.という中小規模のアニメ制作会社のアイデンティティに基づいており、それゆえに動かせないのだろう。

また、沖縄戦でもっとも凄惨な土地となった沖縄南部・南城市の「ガマ」を名に関する水族館を舞台としており、3話では不発弾の発見による渋滞や、出征して帰ってこなかった兄を回想するお爺さんなど、とくに前半クールは沖縄と戦争の歴史についても暗に示唆しているような描写がところどころで差し挟まれていたので、そっち方面でも掘り下げに期待していた。だが後半クールで、舞台が南城市から、おそらく美ら海水族館をモデルにしている「中部」に移ったからなのか、そうした沖縄戦の歴史匂わせはほとんどなくなったように思われてやや残念だった。
(※実際の美ら海水族館は中部ではなくさらに北の本部(もとぶ)町にある)



・各キャラについて

メインふたり、くくると風花については……ふたりともまぁ好き寄りではある。
風花は1話のスタートダッシュで好感度がMAXで、ゆえにピークでもあった。
くくるは……かわいいですね。いいよね、魚類のことばかりで、人類に興味がない高校生。

女性が苦手な空也くん、いいよね。嫌いな人いないんじゃないかな。普段のつっけんどんな態度と、男子の前orお酒を飲んだときの明朗快活な人懐っこい好青年のギャップが萌える。

くくるの幼馴染であり漁師の息子の櫂くん。もちろんいっちゃん好きです。片想い男子しか勝たん……
これがもし岡田磨里シリーズ構成だったら絶対にもっとくくるとのヘテロ恋愛譚が進行していたはずだが、柿原優子シリーズ構成なので、特に進展はなく終わった。かなしい・・・ けど百合アニメだもんね。仕方ないよ。
くくるがむしゃくしゃしたら櫂の両手のひらにパンチしてストレス発散するのがふたりのあいだの習慣になっている(それを櫂は他の人には秘密にしている)の、よすぎる・・・・・・

夏凛さん:空也くんと同い年の市役所員。まぁかわいいと思います。どうせ二次創作で空也とのヘテロCPが擦られてるんだろ? いや、空也はBLカプが乱立していてそっちのほうが強いか……

うどんちゃん:くくるの同級生。本名は月美。料理人。いい子。ヤングケアラーだけどあの怠惰で気ままな母の造形は、良い沖縄らしさとしてなんやかんや赦して見てしまいがち……な人が多いから、ヤングケアラーが生まれてしまうのだろう。

南風原ちゆさん:第1クールから分かっていたさ、良いキャラになると……。ちゆさん回めちゃよかったです。詳しくは以下の各話感想を参照。

うみやん:腰をもっと大事にしてください。ギックリ腰をギャグ的に用いないでください。わたしは心配です

他のキャラも、みんなP.A.のオリアニのキャラだな~~~という質感を味わえてよかったです。比嘉えいじくんとか、ティンガーラ館長とか、飼育部の部長とか、たまんねぇですな・・・
総作監も務めている秋山有希さんのキャラデザ全体的に素晴らしかった。

あ、あと忘れちゃいけない!
キジムナーが神だった。

いや実際キジムナーは神様なんだけど、その扱われ方がとても好みだった。
第1話からめちゃくちゃ重要そうな、活躍しそうな、物語のカギを握ってそうな雰囲気を醸し出しておいて…………なんと一言も喋らず、ただの一度もほかの登場人物と絡まずに終わった!! 神!!!

ファンタジー描写があんま好きではなく、地に足のついたドラマをわたしは見たいので、(ガマガマ水族館の幻覚描写はかなり怪しかったが)キジムナーが上記のように、人間と関わらずに、ただそこに居続けてくれた、その距離感の保ち方がマジでよかった。リアルな神様の在り方だと思う。喋ったり交流したりしたら、人間味が出ちゃって神っぽさは薄れるからね。くくるや風花が供える食べ物をすぐに食べていたが、べつにふたりを見守っていた風でもないのがいい。ずっと好き勝手に、ひとりで気ままに在り続けてくれてありがとう。かなり好きなタイプの「神様」キャラの造形だった。



とくに好きな話数は……

3話(出産回)
5話(母回)
10話(櫂くん回)
16話(ちゆさん回)
21話(離島回)

あたりかな。
……母の話に弱すぎる!





オープニングどちらも結構よかった。
1期の曲はサビが、2期の曲はBメロが好き
エンディング曲はどちらもあんまりしっかり聴けてないです

2026-07-15 23:12:50