supplod さんの「 BanG Dream! It's MyGO!!!!! 」の感想

83点 BanG Dream! It's MyGO!!!!!

バンドもので昼ドラをやる、というコンセプトを高い水準で達成している

(1, 2話の感想メモはないです)

3話

すげ~ 感動した。泣いたほぼ(ずっと?)ともりの主観ショットで、クライシックのこれまでを物語る1話冒頭に戻ってくる。しかし、肝心のさきがバンドを突然辞めた理由は宙吊りにされる。サスペンスの開始。3話を見る限りでは、初ライブ後のSNSの反応が原因?のようだけど、たぶん別の要因があるんだろうな。クライシックは5人中の2人、ともりと睦がどちらも無口系でキャラ被りしているようなのが逆に面白い現在時で主人公的な動きをしている千早あのんは一切出てこない。

仲良し5人組から1人が抜けて、新たに1人がやってきて加わる構成。というか、部外者1人によって、バラバラになっていた5人が再び結集させられる展開。バンドリ時空の、複数の高校にキャラが散らばっている設定もうまく活かされている(さきが羽丘にいることを知らない者と知っている者がいる)

4話

高校生たちの美少女コンテンツにおいて、「一生」という長い射程を持ち込むのはおもしろい。重いけど。あのんの言葉でいちいち落ち込む燈おもろいw いいキャラになってきたな~ 睦との違いがだんだん分かってきた。睦は超然としたマイペース無表情系だけど、燈は引っ込み思案で無口なだけで感情のリアクションは分かりやすく表出される。「おもしれー女」ってそのまんま言うんかい!! あれ、5人目って睦じゃなくてこのオッドアイの人の可能性ある? OPをちゃんと見ていない。愛音が良いキャラしてるなぁ~w 立希との犬猿の仲っぷりも良いし、立希が燈だいすきなのも面白い。クライシックもそうだったけど、複数の人間関係が交錯して相互作用を起こしているグループを描くのが上手い。多角関係オタクとしてはワクワクが止まらない。

5話

やっぱり5人目は睦じゃなくてオッドアイの人じゃねぇか!!! 白髪の区別が難しいこのひとが楽奈か。野良猫でトリックスターすぎる……ただでさえすでに問題児がいっぱいなのに……というか睦さんが可哀想……立希が愛音からのLINE通知をオフにしてくれたら最高だったうお~ そういうことか・・・ かなり人間ドラマを仕込みまくっているなぁ。一気に愛音さんに親近感が。タイトル回収 迷子同士、手を取り合って進む。ええやん……

6話

そよ、初ライブ終わったら睦を誘うつもりなの!? そんなこと言われても睦だって困るよなぁ立希ちゃん…… DTM独学で頑張るだけですごいと思います学外バンドだからこそ、放課後のバンド活動と、それぞれの学校での時間、ふたつの人間関係があることで群像劇が奥深くなっている。人んちの学校内で追いかけっこww 愛音も立希も好きぜったい絆創膏貼るウーマンだ中3って歳下か! 楽奈

7話

初ライブ 序盤のグダグダはマジで観察者羞恥がえぐかった。ヒヤヒヤした~~ アニメであんなにリアルな「失敗」しているステージ見たことないかも。アイドル系では転んだりしても曲は流れ続けるけど、バンドだと、何度も演奏を中断してやり直している姿を見続けるのがきつい。そよさんの圧倒的MC対応力と、楽奈の神アシスト。ふだん問題児で迷惑かける代わりに本番ではめちゃくちゃ頼りになるギターヒーローAfterglowやポピパの面々がめっちゃ懐かしい モカとか……そよはクライシック原理主義者みたいな感じか? さきに並々ならぬ感情を抱いている?さきも初華とかいう幼馴染っぽい人に寄りかかり…… さらに関係の錯綜が加速してきた。「春日影」という "曲" を巡って人間関係が拗れているの、バンドものならではで面白い。拗れる要因が人以外にもある。

8話

祥子と初華が典型的な幼馴染である、と。睦も祥子と昔馴染みじゃなかったっけ? 睦がずっと蚊帳の外で可哀想まさか、LINEを相手にブロックされたかどうか確認する方法をググるキャラがアニメで描写されるとは……そよさん怖ぇ~~ 睦にきつく当たってる・・・ そんなに祥子が大事なのか。クライシック結成時に知り合ったばかりだよね。これまでいちばん常識人で優しかった人物が "豹変" して荒々しい本性を顕わにする展開はアニメでありがちではある。周りを常に見て他人に優しくできる人は、他人にもっともきつく当たることだってできる。「通知画面でだけ読んでいるからLINEの既読が付かずに未読が3桁溜まっている」とか、こういうスマホ描写が細かくておもろい。

恋愛モノだったら、恋人関係や婚姻関係は(モノガミーならば)基本的に二者関係だけれど、本作では、バンドという3人以上の人間関係が、まるでそれらのように扱われているように思う。元恋人を忘れられない人のように、以前組んでいた "元バンド" のことが忘れられずに愁嘆場を演じるそよ。2人から5人に、規範となる関係の人数が増えたことで、より複雑な愛憎劇を構成できるようになっている。

サキがクライシックを辞めた原因はマジでなんなんだ。そよも聞かされてないんだよね? 付き纏われたくなかったら、祥子もそよ達に説明すればいいのに。おそらく初華絡みなのだろう。あと、春日影やっちゃった元凶は楽奈だよね? 本人はどこ吹く風でこれまで通り野良猫やってるのがおもろい。「おもしれー女」が「おもしれー女の子」に "矯正" されたのも面白い。

9話

そよの過去編両親離婚でシングルのヤングケアラー…… ほら~ だから、どこかの『前橋ウィッチーズ』みたいだって・・・ 『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』の大場なな感もちょこっとある。家庭に安定した居場所がないから、誘われて組んだ初めてのバンドを誰よりも大事に想って執着しているということか。1話冒頭の例の解散シーンが何度も別キャラ視点で繰り返される。これ、睦視点でなぜ「楽しいって思ったこと一度もない」と言ったのか掘り下げる過去編もあるのだろうか。「誰がそいつの家の場所を知っているか」もドラマの重要なファクターになっている。その上で、睦は反省して「伝書鳩にはならない」と断る。(路面)電車の対面ホームを用いた古典的な作劇 ニアミスまで!w30バンド兼任!? 有料のヘルプとかじゃなくて? どういうモチベなんだ あとこの人の名前が未だに分からない。ミニのタイトスカートが煽情的笑っちゃうほど状況が酷いw こんなん燈バンドにトラウマ出来て然るべきだよ。

上記の、「バンド」という人間関係を中心としたドラマであることが効いている。バンドという5人(程度)の関係だからこそ、前のバンドに所属していた者と、そうでない新たなメンバーの両方が存在して、今話のようなプロットが組める。二者関係だったらこうはいかない。クライシックそのものではなく、完全に一新したわけでもなく、中途半端に重複メンバーがいるからこその展開。徐々に「別物」へと入れ替わっていくグループの人間関係を巡る不和。これ、OPの面子でのバンド再開は叶わずに、また違うメンバーで結成して終わったらウケるな。こっから再結成するよりは簡単そう

10話

お~~ そことそこが出会うのか~~ どん詰まりからの再生のためのきっかけは。確かに、初華と燈が繋がれば拗れに拗れた人間関係の鎖が円環を成してほどけそう。「歌みたいだね」か! かつて同じ燈の落書きノートを見て、祥子が「歌詞」だと勘違いし(てクライシックの始まりとなっ)たのを、初華は勘違いせずに「歌みたい」だと言うのか~~ うまい

おお! これまで流されがちだった燈がここに来て主人公に相応しく勇気を出して動くのか。頑張れ~~詩の朗読だ…… ロックというかヒップホップ? ポエトリーリーディング的な。MOROHA?らぁな!!! お気に入りの「おもしれー女の子」の詩を絶対に "歌" にしてあげる女の子。ゆいいつ「バンド」の人間関係に縛られない自由な野良猫が、だからこそ大活躍している。一回のライブで何かが好転するわけではなく、地道に朗読ライブを続けて評判を上げていく泥臭さが良いそよの家の中まで行っとる~w あのんの根気勝ちか。そよにとって、ひとりきりの「家」の中に他人を入れたことの意味は大きい。

燈のライブめっちゃ客増えてて草 ライブしながら徐々にメンバーが集まっていく感じとか、もはやライブステージ上で内輪の人間関係のドラマをやってしまっている。正しい/リアルな「バンド」ものではない。本作における「バンド」とは、人間ドラマのために変換された観念だから。そもそも、今のバンドが壊れたきっかけもライブステージ中、というかステージ"上"でのことだった。(春日影を演奏してしまったこと)

演奏を始めてしまえばこっちのもん、という精神がらぁなにはずっとあるのが良いね。壊れるきっかけも彼女の演奏なら、再結成のきっかけも彼女の演奏である。音楽は止まらない?(いや、止まる瞬間を何度も描いているのがこのアニメなんだけど)

うおおおおお すげぇ・・・・ こんなこと出来るんだ。もしかしてこれ神アニメですか??ボーカルが観客に背を向けて、文字通り「内輪」になって演奏する。もはや客を入れてライブとしてステージ上でやる必要はあるのかと思いそうになるが、あるのだ。燈がひとりでライブを重ねて徐々に客を増やして評判になったからこそ、ひとりずつ人を動かして最終的にそよがあの場に客として足を運ぶことになったのだから。バンドに戻ってくれ、と言ってもそよは聞かなかっただろう。しかし「客」として、ステージの下にならば来てくれた。その意味で、ライブとは万人に開かれている場である。そして、あの場に来てくれさえすれば、あとは無理やりにでもステージ上へ引っ張り上げて、音楽を奏で始めて、ベースを持たせて、歌を聞かせればいい。ステージ上でならばどんな奇跡だって起こる。「バンド」が如何に息苦しい形式であるかをここまで描いてきたうえで、そんな「バンド」の形式だからこそ起こせる奇跡があるのだと示してくれた。……傑作か

11話

演奏が終わってから袖にはけるまでを丸ごと固定カメラで映し続ける演出に大きな意味を感じる舞台袖で4人が号泣してるなか、ひとりだけ平然とケータリングのほう行ってるらぁな最高wwあっ、そういえば初華も立希と同じクラスだったんだ。忘れてた3人がそよから逃げたみたいになってて草地味にライブハウスの店員さん・スタッフのお姉さんが要所要所で良い働きしてるんだよな~ バイト中の立希をステージに行かせたのもそうだし。なにそのベランダ!? というかテラス?? タワマンすげぇ~~ こんな家に2人は、そりゃ寂しいわ2日連続で合宿楽しそう あのんさんちの家もデカいなぁあ、ふつうにそのまんまMy Goがバンド名になるのね

12話

「迷子のバンド」!?らぁなは迷子なのだろうか……そもそも目的地がなくフラフラしている野良猫だし。でもお祖母ちゃんのライブハウスの幻影を追って居場所を探している点ではそよとかにも近いかコーラスがElements Gardenらしいそうか、まだそよは睦を許してはいないのか祥子はマジでどういうつもりなんだ・・・

13話

「私、一生クライシックのこと忘れられないと思う」 ほとんど元恋人のことを今の恋人に話すようなそよの台詞だが、恋愛ではなくバンドなので、言われた燈も「私も」と返せるのが良い。……これ、祥子や初華たちのほうは今作では解決しない感じか! 薄々分かってたけど、お前らがアベムジカなのか

えぇ・・・なにこれ?? なんか演劇始まったんだけど。あんな仮面ではすぐ正体バレするだろうけど、そこはフィクション内のお約束ということで。「人間になりたい」燈と対照を成すかのように、非-人間(人形)を演じる祥子たち。

最終話はほとんど、次作への繋ぎか~ マイゴ―は面白く観れたけど、アベムジカは楽しめるか結構不安になってきた………祥子が貧困っぽいのはところどころ伏線あったし、まぁ、といったところか。「家」がひとつの主題なんだろうな。父親が重要人物だとは予想外だけど。

まとめ

バンドもので昼ドラ(ドロドロ愛憎劇)をやる、というコンセプトを高い水準で達成した名アニメだった!! 昼ドラ的なあれが好きなので好きです。予想通りに。

My GO!!!!!の5人みんな好きになれた。燈以外の4人が同じくらい好きかな~長崎そよさんとか人気なんだろうけど、終わってみれば、もーっと拗らせて尖っていてくれても良かったかな。意外と丸い。あの10話の展開上仕方ないけど。アベムジカに期待

2025-06-05 23:15:58