supplod さんの「 日々は過ぎれど飯うまし 」の感想

84点 日々は過ぎれど飯うまし

大学生-美少女日常系アニメのパイオニアにして完成形

https://note.com/kksk/n/n69881c6be918



『のんのんびより』は、これまで観てきたアニメのなかでもがトップ5に入るくらい大好きな作品です。
わたしは「今期アニメ」をたくさん頑張ってリアタイすることに命を賭けているタイプのアニメオタクではないため、アンテナも低く、2025年春クールの『日々は過ぎれど飯うまし』というP.A.Works制作のアニメが、『のんのんびより』の布陣で作られているオリジナルアニメであることを知らず、観てすらいませんでした。
5月末になってようやく見始めたら……言われている通り、いやそれ以上に実質『のんのんびより』でありながら、都内の大学生モノという、明確に差別化する要素もあり、すぐにハマりました。なんでもっと早く言ってくれなかったの~~~!と。



25/5/30
1話
めっっっちゃいい!! あっとさん×川面監督という『のんのんびより』のタッグ(音楽も水谷さん)に、P.A.制作という、自分の好みの粋を極めたかのような布陣だから、そりゃ当然といえばそうなんだけど。もっと早く観始めればよかった~~ 故郷のような安心感……
あっと節のキャラ付け(頭身低め!)とコメディ描写には弱いし、一歩を踏み出せない引っ込み思案な主人公が仲間との出会い(再会)をきっかけに踏み出せるようになるプロットの王道感といったらないし、ごはんは美味しそうだし……
「食文化研究会」がガチでダミーサークルなの笑った。『ゆゆ式』の情報処理部とか、『ゆるゆり』のごらく部とかの系譜ではある。が、大学のサークルであるというのと、それから、結果的にダラダラ過ごすのではなくて設立(前)の時点で明確にダミー(名ばかり)宣言するのが新鮮に思える。そうでもないのかな。
中高の部活日常モノでいう顧問のポジションに、あの大学事務員さんがなるのか……?
女子大だから大学のシーンでは基本女性しか登場しないだろうけど、トンカツ屋には男性客がたくさんいた(主人公以外は全員そうだった)。ただ、あれは明らかに、「初めてひとりで料理店に入る」ことによる心細さ・緊張を引き立てるための男性客揃えだろう。
最近のP.A.はリーニュ・クレール風の美術が多い(たぶん美術監督の竹田悠介さんの仕事)けど、本作はリーニュ・クレール風とまではいかず、ただし背景の処理の仕方にイズムをかんじる。色彩もやや似た色調で統一されていたり、ちょっとくすんでいたり。
3DCGモデルで日常芝居をやろうとするところも今風だが、それはP.A.に限らずどこでもそうか。CGモデル特有の身体の硬さ・ぎこちなさはところどころ見られるが、それがかえって味になっているかもしれない。推定OP曲もいいかんじ


5/31
2話
つつじさんがウクレレ弾いて、内在的にBGM担当するのって地味に革新的では? 日常系でそういうキャラいたかなただ、部室の外できちんと料理し始めた途端に『ゆるキャン△』臭がすごくて、あんまり興味が持てなくなった。実質のんのんびよりをやっててくれ~~ダミーサークル防止のために大学事務が定期的に活動実態のチェックに入るのは現実的だろうか。うーむ……ED、曲も映像もめっちゃいい! サビのカラオケでワイワイするところが特に好き



3話
このなんともいえないコメディと日常感がたまらねぇ…… 安定感・安心感 ダラダラした日常のなかで、毎話いちおう食事ノルマがある、くらいの塩梅がいいかんじ。
主人公ちゃん(名前覚えてない)のタイツが良い。あと食べ物のことになると目つき変わるの面白い。そういうキャラなのね 明確に他のひとと体型が違う
つつじさん好みだけどエナドリ属性だけは苦手! ミリマスの望月杏菜さん的なスイッチングキャラ? 大学生らしいといえばらしいが……
誰も食レポせずに黙々と食べて食事シーン終わるの良い。定型コメント「きゃんぱす~」は草 上手いこと考えやがる


4話
陰キャ系ギャル流行ってるの?(『阿波連さんははかれない Season2』然り)ひつじちゃんの高校同期か~そこでペアになる感じか。とすれば、残りの3人で三角関係……とまではいかずとも、いいトリオになりそう
ひつじちゃんダンスもできるのかよ!? 他人にすごく気を遣えるし、エナドリ以外欠点がないキャラクター
キャラのやり取りは実質のんのんびよりだけど、最大の違いは、あちらが年齢バラバラだったのに対して、こちらは同級生グループである点が挙げられる。
えっ!?!? 定食屋に来ていた親子連れ、のんのんのほのかちゃん(れんちょんの友達)なの??? あっと作品は繋がっていてゲスト出演しがちかー……


6/2(月)
5話
ペーパードライブ回 おもしろかった!! 高速のSAに避難して自然な流れで食事シーンが入る。大学生日常モノの典型をこれで今まさに作っている最中ってかんじ。
くれあさん今のところ完全に保護者枠でツッコミ役だけど、いじりしろがこれから見えてくるのだろうか。『のんのん』ってこれほどツッコミ役が固定ではなかったような。コマちゃんはいじられ役だし、ほたるんは年下巻き込まれポジションで先輩に執着してるし……。


6話
ダイエット回予定調和なコメディに癒される こういうので……枠


6/3(火)
7話
合宿回下田!!! 『夏色キセキ』!!!!
くれあ・まこのカプ厨垂涎の展開だった。コメント欄で以前から推されていた反動からか、わたしはあんまりこのペアを押し出してほしくはないと感じてしまうが……
大学生5人組で、もともとの繫がりで2,2,1に分かれることで、残りのひとりであるくれあが疎外感を覚えるも、主人公たるまこが、自身の過去の経験から、くれあに寄り添う。結果、「まこ」呼びをしてくれるほど距離が近づく。こうしてみると良い脚本だ。

でもな~~~ 単なる逆張りゆえか、それとも幼馴染原理主義の血ゆえか、あんまり "くれあ・まこ" には乗れない。おしんこをもっと絡ませてほしい。ただ、今の
ところはおしんこ・つつじ・ななの3人がお調子者トリオとして上手くまとまっており、残りのふたりきりになる状況を自然に作っている。
ところで、やはりあっと節のコメディが好きだなぁと感じる。はじめ、単にのんのんびより(の田舎エモ描写)が好きだから、副次的に、のんのん的なギャグ描写も(のんのんみを感じるという理由で)好きなだけかと思っていた。今でもその説は拭えないが、しかし今話の出発前の「(パズル買えなくて泣いてたの)去年だよ~」byなな とか、「意気込みをお聞かせください」「意気込み~」byつつじ とか、素直にめちゃ面白いと思う。こういうトーンのギャグが好き。


8話
脱走したポチ(爬虫類)となな姉とのシチュエーションコメディ あっと節
この畑の規模は農業部というか農学部では……? 女子大らしいけど、どんな学部があるのだろう。てかみんなの学部・専攻は何なんだ。
おしんこ最高www 実質なっつんなんだけど、正直なっつんより好きかもしれない

つつじ>しのん>まこ>なな>くれあ かなぁ、今のところくれあがそんなに好きじゃないのは、真面目なツッコミ役に留まっており、コメディ上のいじりしろが未開拓なのと、まことの百合カプ推しが気にくわないから。リコリコのたきな、ユーフォの麗奈のような、"二番手"のクール系キャラだから(まことの百合を形成する)くれあのことが苦手なのかも。


6/9(月)
9話
大学祭ジビエカレー出店前橋ウィッチーズを観たせいで着ぐるみに嫌な警戒心が……wしのんほんと好き 三馬鹿トリオも好き顔さえ隠せばコミュ力MAXになるナナすごいな それは普通の人見知りではない


6/17(火)
10話
まこっちの故郷に帰省 いつもよりもさらに実質のんのんびより。ロケ地どこなんだろうなぁ
「これがいいんだよ」の極致みたいな回だったななを筆頭にかなりのタイツアニメ1話ぶりにまこっちの"メシの顔"見れて満足つつじが仰向けに寝ながらウクレレ引いてるの笑った



6/23(月)
11話
スニーキングホラー&クリスマスパーティー回施錠されてしまった大学校舎から、事務員さんたちにバレないように3人で脱出しようとする…… まさしくのんのん的・あっと的なコントで良かった。
Aパートのつつじちゃん可愛すぎるし、Bパートで「あの目」になって買い物行くまこっちも最高
特に料理しなくてもいいから、一生こういう大学生日常コメディやっててくれ……
「寝坊してて置き配の受け取りに失敗」とか「届いた荷物を自分の注文してたやつと知人の送ってきたやつで取り間違えて開封しちゃう」とか、配達周りの現代的な仕組みをうまく使っているのがいい。前者は独り暮らしあるあるでもある。



6/29(日)
12話
OPアーティストasmiさんって『できる猫は今日も憂鬱』EDのひとか!!! あの曲もめっちゃ好きなんだよな~~ 最終話にしてようやく(コメントで)気付かされた。ありがとう

まこっちのひとり外食パート良い。もっと見たい!コタツを設置したらまず頭から入るしのん最高!w

寝そべってるふたりすきたーっぷり間をとってのんびりまったり具合を表現する演出ほんとすき

2025年のハナシだったんだ……ななのゴツいブーツキャラ立ってていい

うおおおおおおおお願いします2期……!!!!

近所の中規模の神社に初詣でという規模感がいい 美術がすごくしっかりしている

めっちゃ1クール(1年)を振り返ってて草 最終回か? ……最終回か・・・最終話でこれまでの総まとめをがっつりできるのはオリジナル作品ならでは、という感じがする

このカットすきだ~ 夜明けの空の明るさ

神社への橋を渡るカットを前年(←)と今年(→)で2カット用意して、空の明るみの差を自然に見せるコンテが上手い

エンディングが2番~ラストまで流れてる! Spotifyで聴きまくっているので違和感はない

え~もう4月まで飛んでる! これは2期の序盤でこの間のエピソードをやるフラグですね…… なんかまこっちがモコ太郎と握手してるし……

おわり!!!本当にいいアニメだった。日常系アニメのなかでもトップクラスに好きだと言っていい。


・まとめ感想

『のんのんびより』のあっと先生や川面監督の良さ(キャラ、演出、ストーリー)はもちろんだし、P.A.の丁寧なアニメ作りがいちばん良い形で発揮されたんじゃないかと思う。

まずP.A.ってこれまでこんなに真っ直ぐな日常系を手がけたことあったっけ? じぶんが観たことあるかぎりだと、『色づく世界の明日から』が高校生部活モノでいちばん近いけど、あれも魔法が絡んで1クールでのストーリーの起伏はあったし……。(マリー脚本はメロドラマなので論外。お仕事モノも明確なストーリーがあるので日常系とは異なるだろう)

P.A.でいうと、ここ数年の作品(『駒田蒸留所へようこそ』や『菜なれ花なれ』など)で見られた、リーニュ・クレール風の美術が控えめだったのも嬉しかった。部外者のテキトーな印象だけど、『スキップとローファー』で魅せたような地に足のついた青春の美しさを表現するスタンスの延長線上に『ひびめし』があるんじゃないかと想像する。

『のんのんびより』から田舎要素を取ったら何が残るんだ? 大丈夫か? という心配は杞憂だった。むしろ、『のんのん』の魅力の本質・普遍性を『ひびめし』で教えられた気さえする。つまり、コミカルなキャラのわちゃわちゃ感と日常感だ。

そして何より、中高生ではなく大学生で日常系をやったのが慧眼すぎる。大学生日常アニメっていうと、『宇崎ちゃんは遊びたい!』とか、『合コンに行ったら女がいなかった話』とか、隣接ジャンル(日常ラブコメ)だとそこそこあるけど、広義の「きらら系」と言われるような、美少女しか基本出てこない萌え日常アニメではあんまり観たことがなかった。(今期でいうといちおう『ざつ旅』も大学生か)

高校生とは違い、大学生だと、部活よりも自由度が高く「サークル」を作れるし(その自由度ゆえにダミーサークル問題がある、というのを1話でやったのもえらい)、免許を取ったキャラがいれば車を運転して自分たちで行きたいところにいけるし(くれあとしのんの2人の運転技能の違いにフォーカスした5話)、アルバイトの話も自然に出来るし、ひとり暮らし設定にすれば家族関係の描写をカットできるし、顧問とはやや異なる事務員さんとの関係も描けるし、かなり良いことずくめだと感じさせられた。(本作ではまだ未成年だったが、成人すれば飲酒もできる)

ただし勿論、これは、大学生で日常系をすれば必ず面白くなるんじゃなくて、この『ひびめし』が、大学生萌え日常系のパイオニアにして、ほぼ最適解というか完璧な完成度のものを見事に作りあげていた、ということだ。2匹目のドジョウを狙って後継作が現れても、簡単には本作には及ばないと確信している。それだけすばらしい出来だった。

個人的には、癒し系日常アニメとして、『ふらいんぐうぃっち』に匹敵する最高傑作だと思うし(『のんのん』は殿堂入り)、ましてやオリジナルアニメに絞ったらトップといってもいい。

今期観ていた6作品のなかでは断然いちばん好きでした。(『前橋ウィッチーズ』が途中までは1位だったが、ラスト2話でこちらが上回った)

好きなキャラを順に並べるとつつじ ≧ しのん >> まこっち >> なな > くれあかなぁ。

つつじとしのんが好き。

つつじちゃんは、まぁ、オタクみんなこういうの好きだよね……というドストライクな造形。れんちょんのようなマイペース自由人キャラでありつつ、わりかし失敗したり焦ったりと弱みも見せるし、気が効く友達想いなところもあり、「常識人」っぽさも持ち合わせているバランス感覚が見事だった。4話のダンスが好き。あとウクレレ弾き語りで、内在的にBGMを担当するという発想にはしびれた。

しのん(おしんこ)は……いいですよね、愛すべき快活おバカキャラ。こいつがいないとあっと印のコメディが始まらない。『のんのん』のなっつんよりも好き。くれあではなく、しのんが主人公まこっちの幼馴染である設定が天才的だと思う。

まこっちは例のデフォル目が大好き。ななは陰/陽キャ豹変設定とかがあんまり好きではない。くれあは常識人ツッコミポジションだけでなく、ボケしろ・弱みを見せてほしかったが、特に見せずに1クール終わってしまった。

このアニメの唯一の苦手な点が、"くれまこ" 推しなところ。くれまこアンチです。あのふたりは共に真面目で……CPとしての面白みがあんまりなくない??くれあのような、(視聴者の欲望で勝手に)主人公への同性愛感情が嘱望されるクールキャラがあんまり好きではない、というのもある。「(主人公と百合カプを形成する)"二番手"の真面目キャラ」が苦手。『リコリコ』のたきな、『ユーフォ』の麗奈、『まどマギ』のほむらとか……。それから、出会いが作中で(現在形で)ちゃんと描かれている関係よりも、物語開始時点ですでに仲が良かった幼馴染とかの関係のほうが好み、という理由もある。

だから、5人での関係が至高だけど、あえてカップリングを挙げるとすれば、"しのまこ"(幼馴染原理主義)か、"くれしの" になる。おしんこのようなアホなボケキャラをこそカップリングで見たい。

エンディングのここの「くれしの」マジで本編でやってくれ。常に冷静で面倒見のいいツッコミ役のくれあがゆいいつボケに転じるのが、本編含めてここしかない。くれあが好意で暴走するとしたらまこじゃなくてしのんに対してだよなぁ??(願望)

つつじのピースの仕方・映り方が完全にキャラ解釈一致で好き。てかよく見たらここもくれしのじゃねぇか!!!

事務員さんが、他の日常系でいうところの実質顧問の先生ポジションになっているのは、うーむ……(それじゃあ大学生モノである意味が無いじゃないか!)という感じだったが、当初危惧したほどにはがっつり本筋に絡んでこなくて良かった。11話の夜間の大学棟戸締まり回みたいな関わり方が理想的で良かった。農業ガチ勢の先輩は……まぁいいんじゃないでしょうか。

2期やってほしいな~~~ P.A.のオリジナルアニメで2期は観たことないけど……のんのんに倣って3期までやってくれ。それか、コミカライズを連載し続けて、実質原作付きアニメにシフトチェンジしてもいい。

あ、忘れちゃいけない、OPもEDもめっちゃ良かった!! 映像も素晴らしいし、曲が好み過ぎて最近ずっと聴いて踊っています。
『味噌汁とバター』、よくよく聴いてると歌詞がめっちゃ良い

2025-06-29 13:09:36