supplod さんの「 いなり、こんこん、恋いろは。 」の感想

90点 いなり、こんこん、恋いろは。

京都を舞台にした微ファンタジーな青春群像劇 こういうアニメがいちばん好き

2022/4/5
全10話 一気に観てしまった。いい作品だった……
「こういうアニメだけ観ていたい」枠がまた一つ増えた。
ジェネリック『かみちゅ!』だな〜と思いながら観ていたが、あれを現代アニメとしてより凡庸に(良い意味で)し直すとこんな感じになるだろうか。終盤の展開なんかはかなり序盤から予想できるもはや風格と安心感すらあるフォーマットで、逆にかみちゅ!終盤でこうならなかったのが異質だったと今気付いた。

しかし、神様の力を使えるようになった平凡な女子高生、という存在を、かみちゅ!と同等かそれ以上にうまく扱ってストーリーを組み立てていたと思う。振り返ってみれば神通力はむしろ事態をややこしくする方向にしか作用しておらず、だからこそ、それでもその力を肯定すること(だけ)がいなりと宇迦様の関係を肯定することになる、という構図が美しい。
夏回と終盤のシリアス展開で学校の人間関係が拗れるところは性癖すぎて垂涎ものだった。

2組のヘテロ恋愛を柱としつつ、がっつり同性愛も入れてくるのは驚いた。最終的にどの組もまだまだこれからだったけど。
というか宇迦様がかわいすぎた。何だアレは。宇崎ちゃんママが人気出るのがちょっと理解できた。(宇迦様は独身だけど……。)大人の女性が天真爛漫にはしゃぐ姿ってあんなに破壊力があるんですね。しかもいなり兄との関係も最高。何がエモいって宇迦様は彼を幼少期からずっと見守ってきていること。だから母親のような目線も含んでいて、それでも素の自分をさらけ出して楽しい時間を過ごせた最初の相手でもあり……。最後ふたり並んでいたけど、兄はもともと宇迦様が見えていたからそのままってことだよな。時間の流れ・寿命問題がふたりの間には依然として存在しているところまで含めてエモくて応援したい。
別次元の存在といえば、いなりと宇迦様の神通力のバランス関係はほとんど『BLEACH』1話の一護とルキアの関係だった。

最終話前半(往路)のちょっとシュールな絵面から、後半(復路)でいなりが1人歩いて神社に下ってくるシーンのギャップすごい好き。両手のひらを上へ向けた姿勢を固定して一気に美術だけが変わって現実世界に戻ってくるのも良い。

キャラデザ・作画・美術・ロケーションもめっちゃ好みだったな〜〜
光の当て方がすごい好き。神社の境内が常にキラキラしている。
いなりのCVの大空直美さんやっぱりいい声してるわ〜〜と再確認した。
忘れちゃいけない、京都が舞台なのでキャラの多くが京都弁なのも心地よかった。京都の人が聞いたら違和感あるだろうけど。

2025-07-07 20:22:29