supplod さんの「 Free! 」の感想

76点 Free!

主人公がよかった  田舎のロケーションも良かった

2024/7/15~8/19

7/15(月)
1~3話みた
キャラデザ土屋さんだし、コンテ演出もめっちゃ京アニ!ってかんじ
これ舞台どこだ? かなり田舎ですげぇ好み。『氷菓』が岐阜県舘山だったけど、もしかして京アニでいちばん田舎アニメなのでは?(『AIR』があったわ……)
主人公は俺TUEEE系の天才クール天然キャラだが、競泳で早く泳ぐことや勝つことには興味なく、とにかく「水」に浸っているのが好き、という変なやつなので結構好感が持てる。水のなかで自由を感じたい。自分にとってのダンスみたいなものだと勝手に共感している。「死んだ婆ちゃんがまえ言ってたんだけど」と前置きしての格言が「二十過ぎればただの人」とかめっちゃ人口に膾炙してる言葉なのが逆におもろい。
ライバル親友キャラの凛くんは、すげぇ狂犬みたいな言動してるけどその実、主人公の遥に対して負け癖がついている不憫キャラなのがいい。
ふつうに女性キャラも出るのね。江ちゃん可愛すぎる。先生も。
ただ今のところ、顧問の先生に対する間接的なセクハラ発言であったり、江ちゃんの筋肉フェチ属性であったり、「女の子みたいな名前」設定であったりと、ジェンダー的にヒヤヒヤする描写は幾つかある。
てか可愛いなりして渚くんがいちばん傍若無人というか、空気を読まずにグイグイいくのでちょっと苦手。
データキャラとかいう、フィクション内にしか存在しない人種すき(?)  棒高跳びアニメも見たい。
お話は、すげーー王道のスポ根モノで、可もなく不可もなく……。そこを京アニの映像美でいかに面白くできるかにかかっている。
EDが、ニコ動のメドレーで聴いたことあって超懐かしかった。「泳げよ」テンプレ…………

http://tsurebashi.blog123.fc2.com/blog-entry-274.html#:~:text=舞台となるのは,く描かれています%E3%80%82
鳥取県の岩美町・田後(たじり)地区  だそうで。へぇ~~~ やっぱり山陰の日本海側なのね。てっきり京都の北部(天橋立らへん)かと。


7/26(金)
4話
あ、「自由形」ってマジでクロール以外でも良いんだ。小さい頃競泳やってたのに知らんかった。
なら、主人公の「俺はフリーしか泳がない」という台詞がより一層面白くなるな。「何でもいい」種目にこだわること。
江ちゃんの筋肉フェチ設定は、女性が男性を性的にまなざす主体となっているさまを描いている点でフェミニズム的に評価できるのかもしれないが、ごく個人的には困惑する。あと、男子キャラメインの物語でこのように女子キャラを登場させたときにヘテロ恋愛の磁場ができてしまうのを避けるために、特定の男子ではなく「筋肉」という非-人称的な対象を愛する性質(フェティシズム)を女子キャラに持たせたのかもなぁと思った。
あと単純に江ちゃんはお兄ちゃん(凛)好きすぎてかわいい。重度のブラコン。そういう兄妹の絆的な外伝エピないかな。
うお~~ 男同士の壁(金網)ドン来ました!
凛くん、主人公への執着が半端ないし、遙という他者を自分が前に進むための手段だとみなそうとするそのエゴに自覚的なのも良い。「俺はフリーしか泳がない」への返歌として「いや……お前は俺のために泳ぐんだ」は完璧だろう。そのエゴイスティックなところが脆さにも繋がっている。ハルカの更なるアンサーが「じゃあ負けても水泳やめるとか言うな。負けても泣くな」なので……。
これがいわゆる誘い受けってやつ? 巨大感情があってグイグイいくけど、サラッと返されると途端に弱くなってしまう。
ライバルが強豪校で練習する一方で、天才のハルカは今さら部活を作って初心者に教え始める……というのが『ちはやふる』の綿谷新っぽいな。
お~ バタフライだけ泳げるパターン。非現実的だが、たしかに棒高跳びの身体の使い方(逸らし方とそこからの反動でしならせる動き)ってバタっぽい。
遙くん、孤高の天才キャラとして好きだわ~~ 「俺なにかやっちゃいました?」系天才キャラだけど、誰かに執着しておらず、「水泳」や「水」そのものに執着というか惹かれているのがいい。ボーッとしているさまがほっこりする。
「自由」とはなにか、が主題なんだな。ド直球に自由論をやろうとしているアニメ。
てかマジで映像すごいな~~ 夏の屋外プールや島根の田舎のロケーションとか、泳ぐ作画の自然さ・滑らかさとか。




8/8(木)
5話
離島合宿回
画がずっとすごい。海辺の田舎のロケーションも完璧
元コーチのピザ配達員おじさん、めっちゃ酷使されてかわいそう
このきょうだいホント仲良すぎる……ッ!

6話
幼い頃のトラウマとかそういうレベルじゃなく誰だって恐いだろあの状況は。嵐の海なんだから
濃厚なまこはる……はるまこ?  人工呼吸ネタは鉄板
遙の、マイペースだけど意外と周りが見えていて友達想いなところが本当に良い。優しさが伝わってくる。
真琴の海へのトラウマを遙や凛は知っているけど渚とかは知らないんだな。そこの3人がいちばんの幼馴染なのか
その出来事の内容も、意外とあっさりしているのが逆に迫真性を帯びていていい。小さい真琴が海で溺れて……とかではない。金魚も淡々と死ぬし、人も海で偶然的に死んでしまう。そんな死生観
遙の水に対する執着心も、真琴の海に対する恐怖心も、ようするに、じぶんという個人が、水という圧倒的に大きなものに包まれていることへの反応である。ひとは「世界」という大きなものの中に包まれて揺り動かされながら生きるしかない。その周りの「水」をどう受け入れるか、という話。
渚くんは相変わらず苦手だな~~押しが強い!



8/17(土)
7話
相変わらず絵コンテいいな~と思ったら山田尚子絵コンテ・演出!!!
1クールアニメの中盤でくる主人公の挫折回  凛に対してだけは思い入れがある遙くん。てか凛に負けるのはともかく、予選落ちするほど他にも強豪がいるんだね。
てか前話の真琴のトラウマを形成した人物って凛の父ちゃんかよ! だから凛も真琴のことを知ってたのね。(台風で大勢の漁師が亡くなったといってるので別人の可能性もある)
凛と同室の灰色髪後輩、めっちゃ人気ありそう。ノイトラに対するテスラ的なポジション
今のところ、遙-凛-真琴の3人が好きかな~ がっつり三角関係にはならなそうだけど。怜や渚はキャラとしてあんまり……
女子マネの江ちゃん、要するに乙女ゲームの女主人公や、夢小説における投影先としてのキャラクターなんだな、とようやく気付いた。(それで片付けてしまうのは失礼だが)


8話
凡人の頑張りに天才が背中を押される展開はやはりいいものだ……
てかこいつらお互いのこと好きすぎるだろw 小学生の頃の栄光、楽しかった思い出に縋りまくっている
やっぱりまこはるなんだよなぁ……
しんみりするところはじんわりと良くて、盛り上がるところはきちんとアツく仕上げてくる。おもろい
メドレーリレーって2番目がブレなんだっけ。バタかと思ってた。


8/18(日)
9話
鳥取は学校も少ないから地区大会がなくいきなり県大会ってことでいいのかな
海辺でのお祭りのロケーションがすばらしい。美術がすごい凝ってる
小学生の思い出に囚われている高校生…
自ら進んだ道のはずなのに、なぜ俺だけ仲間外れに……と葛藤する凛。いろいろと脆くした綿谷新というか、真島太一とのハイブリッドで余計に悲惨だ。孤高の天才キャラはむしろ遙だし。


8/19(月)
10話
凛は小学生の頃に転校してきた。……つまり、めんま≒凛 の『あの花』みたいなハナシだと理解できるのか
小学生以来離れ離れになっていた幼馴染が帰ってきたことをきっかけに、再びあの頃の仲間が集まり、そこに自分だけ仲間外れだという疎外感を抱いてしまうプロット。前述の通り『ちはやふる』要素もあるのでそこのハイブリッド。
凛だけでなく、vs凛に燃える遙・真琴・渚たちに対して、新入部員の怜もまた疎外感を覚えている。おもしろい
顧問の先生、完全に『けいおん』のさわ子先生なんだよな……
凛は小6で転校してきて中1からオーストラリアに行ったってことでいいのか。一緒にいた時間は1年もないんだな。

11話
お~~ 凛と怜の絡みをここまでがっつり描いてくれるとは……! 怜が良いキャラしてるな~疎外感の元凶にちゃんと突撃して問い詰める行動力と執念、熱さがある。ほぼキャットファイトでしたね
遙のよく気がつくとこホントすき
これ地方大会の会場どこなんだろう。中国地方ってこと? 山陰?
宮野真守の演技がよすぎる

12話
おわった~~~
まさかの展開すぎる。「おいもしかして……マジでやるのか……?」という疑念が次第に強まって確信に変わっていった。
要するに、幼馴染の共同体へと(一度)回帰することで、ようやくそこに囚われている悲劇のヒロインもとい情緒不安定なイケメンを救い出すことができたってことか・・・。いやぁ…………これはさすがに感動よりも困惑が勝るよ。
怜の存在はすごく良かった。幼馴染の共同体から疎外されている者同士で、凛と自己を同一視する。たしかに凛の気持ちを最も理解できるのは怜だし、逆も然りだ。まさかの凛怜とかいうカップリングがラスト2話で急浮上した。
ただ、凛を理解したがゆえに怜は幼馴染の4人のリレーの復活を、観客席から部外者として傍観することに甘んじており、ちょっとお行儀が良すぎねぇかとは思う。最後まで悔しさや嫉妬を手放してほしくなかった。
凛は……ほんとキャラ崩壊が深刻なほどに情緒不安定で、まじで最終的にはそういうメンタルヘルスに不安のある子をなんとかみんなで救う話になっていた。
幼馴染の共同体に囚われた者たちの話はド性癖だけど、しかし、この物語のように、結局のところそこにずっと安住しているように読める類のものは流石にどうかと思う。レースも4人で繋ぐことだけが大切で、他のレーンの相手などまったく無視したままだったし、凛が鮫柄水泳部に残って今後は良きライバルとしてやっていくにしろ、数人メンバーが増えただけであとは昔からのメンバーで馴れ合っていくだけでは?と感じるので。
この1クールはとにかく凛という旧友の精神を救うことに費やされていて、遙たちはまだしも、部外者であるはずの怜までそのために動員されており、マジで不憫だ。そこが彼の役回りの魅力とはいえ。
よって、続編では、鮫柄学園の後輩ちゃんや部長さん、そして新キャラの活躍に期待したいところ。他のいつメンでじゃれ合っているだけではマジで不毛なので。

天才系主人公の遙がとても好きになれたのは望外の収穫だったが、「フリーしか泳がない」という彼の自由論の掘り下げ・解釈は終盤にかけてうまく行かなくなり残念だった。凛や仲間への想いと、水への想いがどう結びついているのか。仲間=周囲の環境=水 のような隠喩は容易に結べるとはいえ、メドレーリレーなどの具体的な競泳のモチーフにはうまく接合しない気がしている。
映像はさすが京アニ、ずっと良かったです。
鳥取アニメあんま見たことないので、日本海沿いの田舎のロケーションはとっても魅力的で好きになれた。


あ、エンディングが砂漠なの、鳥取砂丘ってことか…………ようやく気付いた。

2024-08-19 19:23:21