supplod さんの「 傷物語 -こよみヴァンプ- 」の感想 70点 傷物語 -こよみヴァンプ- 自分にとっての『傷物語』の面白さの大部分が失われた、きわめて退屈な「総集編」だった。よくまとまった「普通の良い映画」になってしまった。 入念な予習をしていった筈なのに、新規カットがほぼ分からなかったにわかファンです…… 削られたカット/シーンばかりが、目の前の画面以上に脳裏に浮かび上がっていた2時間半だった。 全体的に、戦闘シーンの合間の会話パートが大胆にカットされていて、特に羽川のシーンがたくさん削られていてめちゃくちゃ悲しかった。 いや、そりゃあ「総集編」なんだから当たり前なんだけど、尾石達也なら何かやってくれるのではないかと過剰に期待してしまっていたので……自分が悪いですね…… 以下、いま覚えてる限りの削られたシーン ・ドラマツルギー戦の前の、深夜に羽川と阿良々木が会って阿良々木が羽川のメアドを削除して突き放すシーン ・ドラマツルギー戦の後の、阿良々木が羽川にパンツを見せて貰って(2001年宇宙の旅パロ)「友達になってください」と頭を下げるシーン ・ドラマツルギー戦のあと、片足を食べているキスショットに追い出された阿良々木と忍野が会話するシーン ・のあとの、学習塾で阿良々木の着替えを羽川が観察する会話パート ・3人のヴァンパイアハンターの詳細情報(仕事、私情、使命) ・忍野メメが阿良々木に何百万円で依頼を受けると交渉するくだり ・エピソード戦の前の、キスショットと阿良々木が話すシーン(頭に指を突っ込んで思い出す) ・ススキ畑で羽川にパンツを貰うくだり ・ギロチンカッター戦の後の、忍野からキスショットの心臓を受け取るくだり ・キスショット戦の前の、体育倉庫での羽川の胸を揉むくだり ・ラストの、阿良々木のモノローグ 全体的に羽川とのお色気パートがカットされている。 3部作を観てた時はドキドキしながらも「これいる!?!?」って感じだったけど、いざ省略されると、いかに『傷物語』にとって必要不可欠なパートだったかがわかる。 ひとつづきの、それほど引っ掛かりのない「よくまとまった普通の良い映画」になってしまった。 自分にとっての『傷物語』の面白さの大部分が失われた、きわめて退屈な「総集編」だった。 起承転結がちゃんとある『傷物語』なんて観たくなかったよ。……というか、そもそも原作小説で起承転結がちゃんとあったのを、”カット(切断)” して3部作にしたことこそがアニメ映画版の根本的な慧眼なのだから、そこを振り出しに戻してしまった今作が凡庸になるのは当然といえる……。 3部作では、バトルアクションパートも会話劇パートも、画面に映るすべてが緊密かつ一定のトーンで演出されていて、その、どっちもというか全てが大事、全てを本気でやっている佇まいに惚れたものだが、総集編で会話劇パートの多くが削られてしまったことで、あぁ、そうやって区別して優劣をつけてしまったのか……と心底落胆している。 観る前は、「この総集編公開を機に、ひとりでも多くの人に新しく『傷物語』を観てほしい!」と思っていたが、今は、「この総集編で『傷物語』を観た気になってしまう人が出てしまうことが悲しい!!!」という気持ち(誰目線だよ) 『傷物語』3部作を観てから『化物語』を観返すと、会話や展開のテンポが早くて息苦しさ、もどかしさを覚えた(と同時に、これが劇場版とTVシリーズの媒体の違いだよね〜と納得もした)が、『傷物語 こよみヴァンプ』でも同様の違和感を覚えまくったのでとても哀しい 頼むから、この総集編の前に3部作のほうを見てほしいし、こっちを先に観ちゃった人は絶対に3部作のほうも観てほしい。 批評的には、やはりラストシーンでのモノローグの削除がもっとも直球に重要だろう。 Tweet 2024-04-26 21:45:52
70点 傷物語 -こよみヴァンプ-
自分にとっての『傷物語』の面白さの大部分が失われた、きわめて退屈な「総集編」だった。よくまとまった「普通の良い映画」になってしまった。
入念な予習をしていった筈なのに、新規カットがほぼ分からなかったにわかファンです……
Tweet削られたカット/シーンばかりが、目の前の画面以上に脳裏に浮かび上がっていた2時間半だった。
全体的に、戦闘シーンの合間の会話パートが大胆にカットされていて、特に羽川のシーンがたくさん削られていてめちゃくちゃ悲しかった。
いや、そりゃあ「総集編」なんだから当たり前なんだけど、尾石達也なら何かやってくれるのではないかと過剰に期待してしまっていたので……自分が悪いですね……
以下、いま覚えてる限りの削られたシーン
・ドラマツルギー戦の前の、深夜に羽川と阿良々木が会って阿良々木が羽川のメアドを削除して突き放すシーン
・ドラマツルギー戦の後の、阿良々木が羽川にパンツを見せて貰って(2001年宇宙の旅パロ)「友達になってください」と頭を下げるシーン
・ドラマツルギー戦のあと、片足を食べているキスショットに追い出された阿良々木と忍野が会話するシーン
・のあとの、学習塾で阿良々木の着替えを羽川が観察する会話パート
・3人のヴァンパイアハンターの詳細情報(仕事、私情、使命)
・忍野メメが阿良々木に何百万円で依頼を受けると交渉するくだり
・エピソード戦の前の、キスショットと阿良々木が話すシーン(頭に指を突っ込んで思い出す)
・ススキ畑で羽川にパンツを貰うくだり
・ギロチンカッター戦の後の、忍野からキスショットの心臓を受け取るくだり
・キスショット戦の前の、体育倉庫での羽川の胸を揉むくだり
・ラストの、阿良々木のモノローグ
全体的に羽川とのお色気パートがカットされている。
3部作を観てた時はドキドキしながらも「これいる!?!?」って感じだったけど、いざ省略されると、いかに『傷物語』にとって必要不可欠なパートだったかがわかる。
ひとつづきの、それほど引っ掛かりのない「よくまとまった普通の良い映画」になってしまった。
自分にとっての『傷物語』の面白さの大部分が失われた、きわめて退屈な「総集編」だった。
起承転結がちゃんとある『傷物語』なんて観たくなかったよ。……というか、そもそも原作小説で起承転結がちゃんとあったのを、”カット(切断)” して3部作にしたことこそがアニメ映画版の根本的な慧眼なのだから、そこを振り出しに戻してしまった今作が凡庸になるのは当然といえる……。
3部作では、バトルアクションパートも会話劇パートも、画面に映るすべてが緊密かつ一定のトーンで演出されていて、その、どっちもというか全てが大事、全てを本気でやっている佇まいに惚れたものだが、総集編で会話劇パートの多くが削られてしまったことで、あぁ、そうやって区別して優劣をつけてしまったのか……と心底落胆している。
観る前は、「この総集編公開を機に、ひとりでも多くの人に新しく『傷物語』を観てほしい!」と思っていたが、今は、「この総集編で『傷物語』を観た気になってしまう人が出てしまうことが悲しい!!!」という気持ち(誰目線だよ)
『傷物語』3部作を観てから『化物語』を観返すと、会話や展開のテンポが早くて息苦しさ、もどかしさを覚えた(と同時に、これが劇場版とTVシリーズの媒体の違いだよね〜と納得もした)が、『傷物語 こよみヴァンプ』でも同様の違和感を覚えまくったのでとても哀しい
頼むから、この総集編の前に3部作のほうを見てほしいし、こっちを先に観ちゃった人は絶対に3部作のほうも観てほしい。
批評的には、やはりラストシーンでのモノローグの削除がもっとも直球に重要だろう。
2024-04-26 21:45:52