supplod さんの「 ぼっち・ざ・ろっく! 」の感想

78点 ぼっち・ざ・ろっく!

若き天才たちが作り上げた史上最高のTVアニメーション ハイセンスな演出がこなれ過ぎててかえってムカつくほど

https://note.com/kksk/n/n90368c25439f
↑の記事のコピペです


『ぼざろ』のアニメをようやく観たので1話ごとの感想を載せます。
わたしは2022年の『ぼざろ』放送当時、1話だけ観て視聴をやめていました(なんとなく)。あとは第5話を友人が観ているのを横から覗いていたり、数年後に第2話だけ観たくらいで、1クールしっかり観たのは今回が初めてです。
(ちなみに、今になって観ようと思ったきっかけは今期アニメ『前橋ウィッチーズ』が面白く、脚本家の吉田恵里香さん繫がりで、です……『虎に翼』も良かったし。)

原作漫画は未読です。



1話

アニメーションのクオリティが高すぎる。こんなに全編完璧なアニメはそうそう無いだろう。斎藤圭一郎が天才でしかない。こんなのアニメ史に残るほどの大ヒットをしないほうがおかしい。

放映当時にこの1話だけを観て、キャラ作画に対して背景美術がリアル調なのに違和感を覚えていた覚えがあるけれど、今はまったくそうは思わない。

後藤ひとりに関しては、あらかじめアンチとしての意識を育み過ぎたからか、一周回ってなにも気にならなくなった。凪山田リョウさんほんと好きてか虹夏・リョウは高2で歳上なんだ。同学年かと後藤パパが若すぎる…… あんなヒョロヒョロの大学生みたいなパパ、アニメで珍しいかもしれない。

エンディングいい曲だ〜 さすKANA-BOONOPはアジカンじゃないんだ…… 似非アジカンだった

2話

ひとりって県外(都外)の片道2時間かかるとこ住んでんの!?!? 高校は下北の近場か。ひとりちゃん頑張った!! ちょっとウルッときた寝癖のようなアホ毛が頭部から遊離してる演出初めてみた。すごい

3話

ひとりだけ全身ジャージで学校きてるのヤバすぎる。そりゃピンク髪の理由について考察されるわ

名記事

ぼっちちゃんが本当に終わっているのは内面的なマイナス思考というよりは、外面的な自己客観視能力が破綻していることです。

23/4/16 『ぼっち・ざ・ろっく』感想 何故ぼっちちゃんの髪はピンク色なのか?

ひとりのモノローグ進行が当たり前になっているのも同根。虹夏たちとの会話中でも、ひとりは平気でモノローグをぶつぶつ喋っており、しかもそれがアニメとしてモノローグだと分かるようには音響的に演出されていない。ひとりが虹夏に喋ってると思ったら心の声だった、というシーンがよくある。ひとりの発話とモノローグ(発話していない声)が音響上区別されないことは、彼女の主観的なモノローグ偏重と認知の歪み(信頼できなさ)を表している。

モブ紙人形劇とか風船アイデンティティ破裂とか、前話の青春イメージ映像とか、ところどころ実写をお遊び的にぶっ込んでくる。遊び心に富んだハイセンスなアニメ。

喜多ちゃんてそういう経緯で結束バンドに入ったのか〜喜多→リョウの片想い憧れがあるのね。虹夏含めて三角関係やってほしい絵コンテが斉藤監督でなくとも質が保たれている

4話

段ボールに書いてあるけど千葉なのかひとり、独白でとはいえもう「虹夏ちゃん」呼びなんだ。歳上なのに。ぼっち過ぎてそういう先輩後輩の機微も分からないやつか。アー写のために下北を散策するカットや喜多ちゃんの撮った写真がひとつ残らず決まりきっている。オチ怖っ新エンディング!! これが「カラカラ」か〜 いい曲だ! 

作曲の中嶋イッキュウさんてtricotか〜 ほぼ聴いたことない

5話

PAさんすきお〜 5話にして初のちゃんとしたライブシーンできちんと魅せてくる。自販機の虹夏とのシーンもコンテ作画極まっていた。

もはや、この監督と座組だったらどんな原作でも傑作アニメに仕立て上げられるだろうな……という、一周回って虚無感すら覚えるほど。前衛的な演出をこなれた感じで次々と繰り出してくる余裕がかえって近寄りがたくさせる。

この回だけ放映時に友達に便乗してAbemaで一緒に見た覚えがあるけど、ちゃんと順に観ると感動が段違いですねー秘められし力の覚醒を控えている王道の少年マンガ的・なろう的な俺TUEEE要素が根底にはある。

6話

スピンオフやってる謎のアル中ベーシストお姐さんが初登場 上着の下の格好がエッチすぎる着々と「外の世界」へと眼を見開いていけているひとり。スタンダードな成長物語を丁寧にやっている。演奏の実力じたいはすでにあるので、社会性の無さを克服するだけでいい。成長する筋がひとつに絞られている。

斎藤圭一郎さんってこんな若かったの!?!? 正真正銘の天才だ……けろりらさんは更に若いし…… まさに時代を塗り替えるエポックメイキングな作品だ。でも山田尚子が『けいおん!』の監督をしたのはもっと早くて25歳くらいの時なんだよな……

7話

千葉の家に初めて友達を招くのか。やべー歓迎の仕方しててウケる妹さん五歳なの!? 未就学児だったとは…… 小2くらいだと。

後藤ひとり、『阿波連さんははかれない』のライドウくんと会わせたいくらい、妄想で突っ走るなぁ。ライドウの妄想が予測不能のカオスなのに対してひとりはネガティブ自虐一辺倒……というか、自分に関する妄想のみだけど。(逆にライドウくんは自分以外のことについて突発的に妄想スタートできるのがヤバいんだよな)

こんなん両親たち泣くだろ、感動で。娘の妄想かレンタル友達だと疑ってて草 けらけら笑えるの凄いな。どういう受け入れ方してるんだパパは。これけっきょく後藤家に一泊したのだろうか。遅くまでいたっぽいし、2時間は遠いよなぁ。初めての友だち招待がお泊まり会ってそりゃハードル上がるわリョウがマイペースに不参加なの最高

8話

初ライブが台風直撃でピンチ ラブライブ!を彷彿とさせる王道展開アル中のひと、虹夏姉の後輩なんだ。同期か先輩だとお〜 これが音に聞く名ライブシーンか 「あのバンド」

皮肉なことに、ひとりが客席や周りを気にせずに手元のギターにだけ集中するとき、もっとも周囲に求められ褒められる "活躍" をすることができる、というジレンマを、ひとりの主観ショットなどを通してうまく描いている。

「あれ、俺なんかやっちゃいました?」案件ライブの高揚のままに終わるかと思いきやまだまだ尺あって、打ち上げシーンで十分に熱を覚まして日常へと還るところまでやる点に脚本家の意図を感じる。喜多郁代というネーミングに作中で本人からツッコミが入るとは。確かに言われてみれば古風な名前かぁ。語呂合わせによるダジャレみのほうが強い

伊地知姉妹、尊すぎるだろ……虹夏の本当の夢は、自分がバンドで居場所を見つけて自立することで、お姉ちゃんに再びバンドをやってもらうことではないんだな。あくまで姉との居場所であるstarryを守り抜いていくことが大切。

お〜 虹夏にギターヒーローであることがバレて、タイトル回収して綺麗に終わった。つまり、自意識の殻に篭っていた主人公が、他者と触れ合って傷付きながらも、仲間という共同体(社会)のなかでの自分の存在意義を見出していく過程を、前衛的なアニメーションで描いた作品ということか。実質エヴァといっていいでしょうこれは。

エンディングは北澤ゆうほ作曲 the peggies知らねぇ〜

9話

ふたりちゃん5歳で絵日記書けるのすごくないかにしても、母も妹もひとりに対して優しくて、なるほどこの家庭環境にしてああいう人間に育ったのだなということがわかる。押し入れから出て、自室の布団の上でギター弾くようになったのは成長ということか。

4人で江ノ島に出かけたのに当然のように単独行動しようとするリョウほんとすきそういえば、このパリピといい、前話の打ち上げの呑み屋にいたサラリーマン中年男性といい、きらら系の美少女作品にしてはモブで男が出てくることが多い。この世界に存在する男はお父さんだけではない。ひとりが恐れる社会=外界の象徴として用意されている感じかな。高校も共学だろうか。

アニメで江ノ島回を観ると『魔法遣いに大切なこと~夏のソラ~』9話を観たくなってしまう。あれが私的No.1江ノ島回なので……。

うわっ! Twitterでたまに見る例のシーン、江ノ島エスカーだったのか!! 身構えてなかったから新鮮に驚けた。喜多ちゃんと虹夏はともにコミュ強の陽キャだと認識してたけど、虹夏は意外とインドア派なのか。ライブハウスに篭ってるからかな。喜多ちゃん良い子すぎるけど、それ故にこの4人でいちばん興味ないかもしれない。嫌いとかでもない。無ひとりは喜多ちゃんに出会えてほんとよかったね……

あ、このED前回だけじゃないんだ。

10話

あ、ひとり達の高校も共学だ。きららで珍しいよな〜 バンドの主な活動場所が学校外の非部活モノだからこそ、なのかもしれない。ひとりがコンプレックスを抱いている「青春」に、異性愛的なものが含まれているために男子生徒がモブとして要請される節はありそう。

なんやかんや、バイト先で星歌さんがひとりの相談相手になってくれていて恵まれてるなぁ高校中退してるPAさんの過去編ないの?リョウでもお通夜状態だった中学文化祭ステージがトラウマになるんだ……気にしないかと。

酔ったきくりさんの歩く作画すげ〜 めっちゃ良いダンスSICK HACKメンバーも人気ありそ〜 ライバルバンドとして無限に新キャラ出せるから強い。単なる学園モノではそうはいかない。きくりさんも21歳なのだろうか。ベースボーカルかっこいいサイケデリックロックにしてはポップすぎないか? しらんけどきくりさん頼れる師匠ポジかよ。そりゃ人気出るわエンディングのゆるいダンスかわいいな

11話

そもそも学校外の人も文化祭ステージ出れるんだそれどころかクラスのメイド喫茶に飛び入りでヘルプまでしてる。。男子生徒はどこ行ったのかと思ったら、2日目は執事喫茶だから1日目は観て回ってる交代制ということか。虹夏のアホ毛も浮いてるの今さら気付いた5月頃から始まってもう10月になっている。そういや学年違うから虹夏たちが卒業したらどうするんだろう。大学生と高校生の混成バンド編面白そう。でもそこまではやらないのかなぁ。そもそも大学行かずにプロデビューするか。パパ泣いてるw そりゃ泣くよな〜

12話

「忘れてやらない」 いい曲!ボーカルを正面からほぼ固定で映してあの臨場感を演出する作画がすばらしい。2D作画だよね?そして『けいおん!』あるいは『リンダ リンダ リンダ』以来伝統の、誰もいない校舎内の風景を演奏中に映していくカット!

これが「星座になれたら」か〜 聴いたことないけど知ってる曲名しか出ないハプニングに見事対処するひとり。ボトルネック奏法ってそういうのなんだずっと俯いて弾くのかっこいい客席ダイブ失敗はさすがに草

学校で変な奴扱いされなくなければまずその全身ピンクジャージをやめたほうが……動画広告収入30万www お父さんナイス いい家庭すぎる放送当時って退職代行がまだそんなにメジャーじゃなかった時期かな漫画でもアホ毛が遊離してるのか確認したいドラムは置いてないのか 広い楽器店じゃないと扱ってないのかな「転がる岩〜」のひとりバージョンいいな。カバーが上手い

おわり!!!

まとめ

なんとゆーか、憎らしいほどに丁寧にハイセンスに作られた超名作アニメでしたね…… こなれ過ぎててかえってムカついてくるほど。客観的に大傑作であることは疑いようがないが、自分に刺さったかといわれると、違う。すばらしいアニメーションでしたねー……というかんじ。キャラやストーリーがそれほど魅力的だとは思えないからかな。これが逆張りなのかはわからない。世間の評判を一切知らずに本作を見ることなどもう不可能なので…… (後藤ひとりの何倍も自意識を拗らせているのは俺だ!!!)

やっぱり、実写映像を用いた突き抜けたコメディ演出が、凄いとは思えど根っこのところで受け入れられないんだと思う。「アニメ内でこんなことまでやってしまえるんだぜ」という製作者のドヤ顔を透かし見てしまうというか……

主人公の後藤ひとりさんがめっちゃ苦手だと思い込んでいたけれど、今回ちゃんと通しで見てみて、杞憂だったことがわかった。大好きとまではいかないけど、ふつうにおもしれーし演奏中はかっこいい良キャラだと思った。

お気に入りキャラは、山田リョウと、あとはPAさんやきくり、星歌などの大人組かな~~

アニメ2期が決まっているけれど、原作としてはこの続きどんな感じなんだろう。バンドとして徐々に有名になっていくのだろうけど、プロデビュー云々を扱うのは難しそうだ……『ガールズバンドクライ』然り。とりあえず『BECK』の続きを観るか〜バンドリMyGOとかも観たい。

2025-06-05 03:02:39