supplod さんの「 ネト充のススメ 」の感想

80点 ネト充のススメ

ネトゲを軸にしてはいるが、話の筋書きはベッタベタなトレンディドラマ。能登さんCVの自称「エリートニート」三十路女主人公がとても好き

今期アニメ『山田くんとLv999の恋をする』がとても面白いので、同系統のネトゲ題材ラブコメの有名作としてよく名前が挙がるこの作品を観た。
主人公：盛岡森子役の能登麻美子さんの演技がとにかく最高。ほんとかわいい。学生ではなく「三十路」の女性を主人公にしたアニメというのも割と珍しいし、しかも会社を過労で退職してネトゲ三昧の生活を送るニートだという設定も個人的には刺さる。
森子はネトゲ上では男性アバターを使っており、ゲーム内で仲良くなって「相棒」になるヒロイン側は、実は男性プレイヤーが操作していた……という性別の反転がふつうに面白い。そのお相手の男性と現実世界でも恋愛関係を育んでいく後半は、ネトゲ（"ネト充"）要素が後景化してやや残念ではある。せっかくネナベ×ネカマでの性別倒錯ヘテロカップルが面白かったのに、終盤では結局、現実の性別に準じた新アバターをお互いに作ってネトゲ内で「再会」をしてしまうのも、なんだかなぁという気がする。
このように、『ネト充のススメ』と銘打っているわりには、「リア充」に繋がるきっかけとしての「ネト充」しか肯定できていない感じはあり、むしろネトゲ文化を貶めているきらいさえある。
それなのに、全10話を2日間で一気にむさぼるように観れてしまったのは、（能登さんCVと）けっきょくは、2次元オタクだろうがなんだろうが、自分はこうしたベタなメロドラマにキュンキュンしてしまう人間であるからだ。自らの感性の単純さを思い知らされた。

原作漫画は未読だが、どうやらアニメは最初の2話くらいで、原作の話をかなり飛ばして展開を早めているようだ。たしかに1話Bパートでいきなり他のギルドメンバーが登場するところなど、不自然さがあって戸惑った。話を飛ばしたぶん、最後のほうは原作でも描かれていないアニオリ展開をやっていたらしい。シリーズ構成がさすがふでやすかずゆきさんといったところか。

カッコいいイントロのOP曲は有名なので聞いたことがあったが、まさかフジファブリック作曲だとは。言われてみればイントロのギターリフやBメロのフジファブリック感がすごい。『つり球』では歌っていたけど曲提供もするんだな。

2023-04-19 23:19:30